【感想】すきになったら/ヒグチユウコ(ブロンズ社)
ヒグチユウコさんの作品が好きです。作品集や絵本が出版される前から、ヒグチさんの作品が描かれた絵葉書や洋服をみかけては収集していました。
サイン会に足を運んだことも。
(溺愛していたペットのデグーを描いてくださった)
そんな具合で、個人としてはふだんから作品を楽しんでいたのですが、「大人向け」という先入観があり、我が子と一緒にヒグチさんの作品を読んだことはなかったことに気付いたのです。
30代に入った頃からでしょうか。恋愛という感覚がすっかりどこかへ遠ざかってしまいました。ここ最近で一番恋愛に近い感覚だと思ったのは娘と一緒にいるときかもしれません。ドキドキしたり、ハラハラしたり、イチャイチャしたり、ケンカしたり…。
ならば、娘と一緒にこの本を読んでみよう、と選んだのが「すきになったら」(ブロンズ新社)です。

まさに今ひらがな習得中の娘は、本の内容にかかわらず、途中で読んだひらがながどこに書いてあるのかきいてきます。話もとぎれ、内容もはいっていかないようなので、まずは「1回目は、質問はしないで最後までお話を聞いてくれる?」とお願いしてから読みました。
わたし「どうだった?」
娘「ワニがこわかった」
わたし「ワニはすきにならない?」
娘「うん、こわい」
わたし「すきな人がワニだったらどうする?」
娘「やだ」
そんな会話が続いたので、まだ娘には早かったかな?と思いながら、「ママはこのお話すきだなぁ。」とぼやきつつ、本を枕元におきました。
すると、
娘「もう一回読んで。」
お?リピートリクエスト。
娘は寝る前に多いときは7〜8冊絵本を読みますが、同じ本をリクエストすることは珍しいんです。
二度目は、絵本の情景を娘との会話で楽しみながら読みました。どうやら、ワニさんへの恐怖が少しばかりとっぱらわれたようです。
娘「もう一回読んで。」
さらにリクエスト。
3回目を読み終わったときにこんな会話が。
わたし「このワニさんは、立ったり座ったりしてるね」
娘「ねてるときもあったよ」
わたし「そうだっけ?」
娘「うん。あったあった。(絵本をめくりながら)ほら!」
確かに、ワニが少女のまわりを囲むように伏せているシーンがありました。
わたしよりずっとちゃんと絵本の世界を覚えている、と感心してしまいました。
同時に、絵本の中に出てくる「すきになったら あなたのすきなものを すきになったり あなたのだいじなものを りかいしたくなる」まさにこの現象を自分に重ね合わせているのかもしれない、と思いました。
子どもの「真似したい」きもちというのも、もしかしたら「すき」からはじまるものなのかもしれないですね。
絵本を読み聞かせていて、こんなにも娘の繊細な気持ちについて考えたことはないかもしれません。とくに娘が言葉を発するになってからは。
わたし個人としての感想は、正直、男女の恋愛っぽい視点では興味が湧かず、あたたかいお話だなぁとふわっとした印象しかもっていなかったのですが、今回娘との関係性を重ねてはじめて胸がキュンとしました。
「少女とワニ」という設定も、少女がすきになった対象を自由に想像できるところが素敵です。それは、ワニであるけれど、ワニでないかもしれない。もしそこに少年が描かれていたら、幼い二人の淡い初恋かのように限定されてしまうと思うんです。ワニだから想像が膨らむ。
「はなれていても どこかにあなたがいるだけでしあわせ」のくだりでは、もしかして(ワニだし…)もう他界してしまっていたのだっけか…と曖昧な記憶を探り泣きそうにもなりましたが、ちゃんとワニさんは生きてるんでした。ほっ。
娘と同じくらいの記憶力に戻りたいものです。
ヒグチユウコさんのほかの絵本も、ぜひ娘と一緒に読んでみたいと思いました。
◆娘=3歳(読書当時)
◆ジャンル:えほん
◆発売日:2016/9/14
◆日本語






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