【感想】おおかみと七ひきのこやぎ/グリム童話、え:フェリクス・ホフマン、やく:せた ていじ(福音館書店)

すんっ!

だれもが知っている悪がしこいおおかみと7匹のこやぎのおはなし。
絵がすてきだなぁと手にとってページをめくると…

むかし あるところに、こやぎを 七ひき そだてている おかあさんやぎが いました。

ええええええええ!!!

こやぎは四足で草原の草を食べているのに、お母さんは「すんっ!」と旨の前で手首(?)を交差させ直立している。

もうインパクトが強すぎてそのあともお母さんの立ち姿しか目に入らないですよ。

読み進めていくと、ごぞんじのとおり、あわれこやぎはおおかみのおなかの中…。

号泣するおかあさんやぎは、やはり直立して前脚(?)で目頭をおさえます。

 

グリム童話からまなぶこと

原作に忠実なのか、少し残酷な描写も。

いねむりしているおおかみのおなかを、おかあさんやぎは手早く切り裂き石をつめて縫ってしまいます。

痛そう…。

さらに、のどが渇いて井戸の水を飲もうとしたおおかみは、おなかの石の重さにたえられず井戸に落ちて死んでしまいます。

よろこんだやぎたちは

「おおかみ しんだ! おおかみ しんだ!」

と喜びの舞をおどるのです。

 

おおかみだって、食べなければ生きていけない

おおかみは、ただ生きるために知恵を使っただけの犠牲者なのではなかろうか?

これが生存競争というものなのか?

さて、わが娘はどうとらえたのだろうか。

よろこびの舞をおどる様子をよみきかせたあと、念のため確認してみた。

わたし「おおかみさん、かわいそうじゃないの?」

娘「うん!かわいそうじゃないよ」

うれしそうに、にまぁ…っと笑っていました。

なんて悪い顔をしてるんでしょう(笑)!!
完全に、自分は「子やぎ」サイドのつもりでいる。

こうやって、よくも悪くも世間を知り知恵をたくわえていくんだなぁとグリム童話の奥深さを知ったのでした。

◆娘=3歳(読書当時)
◆ジャンル:えほん
◆発売日:1967/4/1
◆日本語